国際競争力のある修士課程プログラムを創るための指南書
12/73

争には勝てません。東京医科歯科大学MPHプログラムが、上述したサービス(バリュー)を提供するために用意したケイパビリティ(リソースとオペレーション)は何でしょう? まず、人的リソースである教員です。公衆衛生学修士課程修了者にとって必要な知識とスキルの獲得支援のための学習機会を提供できるだけでなく、それを英語で提供できる教員が必要です。そして、他機関に差をつけるためにも、これら知識・スキル獲得支援が効果的に行われる学習機会でなければなりません。そのために、アクティブラーニングをふんだんに取り入れ、履修者からのフィードバックにもとづく継続的質改善による努力、というオペレーションが必要です。 また、「国際機関等でのキャリア構築のための人的ネットワーク形成機会」を限られた予算にて提供するために、東京医科歯科大学教員の国際ネットワークを活かして英米トッププログラム教員を非常勤講師として招聘し、短期集中講座などを開催することとされました。これにより、予算の関係で英米トップ研究者を常勤で雇えなくとも、履修者のキャリア構築のための人的ネットワーク形成機会を提供することができます。さらに、「離職せずとも履修可能なオンライン(同期または非同期)受講オプション」というバリューの提供を可能にするために、設備リソース(機器システム)が必要です。 さらに、比較的低価格の学費(学生納付金)を実現するためには、他の安定した財源が必要です。1.1.4収益モデルで詳しく説明しますが、国からの運営費交付金、省庁補助金/競争的資金(研究費)の積極的獲得、附属病院収入などが財源になります。以下にまとめたこれらがあって初めて、意図する価値が提供できるわけです。• 公衆衛生学修士課程修了者にとって必要な知識とスキルの獲得支援のための学習機会を提供できるだけでなく、それを英語で提供できる教員(人的リソース)• 効果的な学習機会とすべく、豊富なアクティブラーニング機会、そして履修者からのフィードバックにもとづく継続的質改善による努力(オペレーション)• 英米トッププログラム教員を非常勤講師として招聘(人的リソース)• オンライン(同期または非同期)受講を可能にする設備リソース(機器システム)• 運営費交付金、省庁補助金/競争的資金(研究費)の積極的獲得、附属病院収入などによる、学生納付金への低い依存度の実現

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る