1.2 戦略体系の解説と事例1.1.7 マーケティング戦略(特にプロモーション)上・人々の幸福に貢献する人材を育成する・・・という東京医科歯科大学MPHプログラムのビジネスモデルは、東京医科歯科大学の組織ミッションに整合するものであるといえます。また、年間9名という募集枠サイズは、国内の他の公衆衛生学修士課程プログラム(20〜30人台)、米国トップ公衆衛生学修士課程プログラム(100〜180人)と比較するとかなり小さいですが、「国際機関等でのキャリア構築を考えている応募者」という、市場全体の一部をターゲットとしていることを考えますと、決して小さい規模ではなく、また教育研究指導にあたる教員数や研究分野数を鑑みても、人的資源に限界がある中で、東京医科歯科大学の組織ミッションに整合するとても意欲的なサイズが設定されているのが理解いただけると思います。新規プログラムの立ち上げに際して重要な活動の一つが、集客、つまり応募者募集におけるプロモーション活動でしょう。プロモーションはいわゆるマーケティングの4要素(4P:Prod-uct、Price、Place、Promotion)のひとつですが、東京医科歯科大学MPHプログラムの立ち上げ期には、海外募集の一般的なノウハウも蓄積されておらず、非常に苦労しました。例えば、当初学会でプログラム紹介広告を配布しましが、期待する応募者セグメントには届かず(そもそも学会には既に公衆衛生学修士課程プログラムの履修者または修了者しかいない)、無駄に終わりました。コミュニケーションチャネル(情報伝達経路)選定におけるミスです。その後、履修生らへのインタビューを通して、応募者のほとんどはWeb検索にてプログラムに関する情報収集を行なっていることを知り、プログラムウェブサイトの充実と、Facebookを通した頻回の情報発信にプロモーション活動を集中することにより、認知度を高め、応募者増数を実現することが出来ました。この節では、前節で戦略体系の構成要素として示した以下につき、その内容を解説するとともに、今回インタビューさせていただいたプログラムの中のグッドプラクティス事例を紹介します。他方、戦略の策定の仕方については、第2章で詳しく説明します。• ビジョン・ミッション
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