• 競合が提供し得ていない価値の発見• 顧客セグメンテーションによるターゲットの選定と提供すべきニーズの明確化これらにより、プログラムのポジションが定まり、それを実現するための基本戦略やビジネスモデルが明確になっていきました。これは所謂「ポジショニング(ターゲットとバリュー)起点」の戦略策定プロセスと言えるでしょう。第1章でも見たように、他のほとんどのプログラムは集中戦略をとっていますが、それは外部環境分析等の結果ではなく、「ケイパビリティ起点」でビジネスモデルが策定され、募集してみたら結果的にバリューにマッチしたニーズが特定の応募者セグメントに存在し、そこにターゲットが自ずと絞り込まれていった、という流れです。つまり最後のターゲット選定は調査や分析結果に基づく判断ではなく、「やってみた結果」でした。これらは一種の「ケイパビリティ起点」の戦略策定プロセスとも言えるでしょう。ただ、当該セグメントにおける競合という面では優位に立っていたからこそ成功したわけであり、それは起点となるケイパビリティを選定する際に競合的優位性を考慮していたからだと思われます。ただし前述のように、今回の調査結果はある程度の成功をおさめたプログラムのみを調査対象としており、強いバイアスがかかっている可能性もあります。戦略策定プロセスの調査結果として現時点で言えるのは、• 「ポジショニング起点」のプロセス(特に競合・顧客分析)での成功パターン(サンプル数1)• 不完全な「ケイパビリティ起点」のプロセスでの成功パターン(多数)ということのみですが、今後プログラムの新規開設、またはプログラム拡大などの際には、より優秀で志の高い応募者を多く集め、プログラムとして成功する確率を高めるためにも、経営環境の綿密な分析を行い、それに基づいてビジネスモデルと戦略を策定するという「ポジショニング起点」のプロセスを経ることが推奨されます。
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