国際競争力のある修士課程プログラムを創るための指南書
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3.1.5 ⑤コミュニケーション3.1.6 ⑥財源確保囲内で、プログラムの目的達成可能性の最も高い獲得・配置計画を立て、獲得・配置後は職員のパフォーマンスをさらに向上させるための評価制度を策定・運用し、研修を企画実施し、さらにンフリクト解消に努めていかなければなりません。組織体制のところでも触れましたが、ここで重要になるのは英語対応力です。機関全体の国際化が遅れ、様々な機能を担う部署(学務、人事、経理、労務ほか)における英語対応力が低い場合は、プログラム運営にあたる事務組織を設置し、そこに英語対応のできる職員を配置しないと(「集中型」の管理運営組織体制)、教員に多大なる負担がかかり、プログラムの運営が滞ってしまいます。前述しましたように、東京医科歯科大学は機関としての国際化が不十分であったため、公衆衛生学修士課程プログラムの管理運営組織体制として、「集中型」を採用しました。ここでいうコミュニケーションとは、プログラム運営に関して必要な情報が適切なタイミングで適切なステークホールダー間でやりとりされることを意味します。各ステークホールダーが必要とする情報や適切な授受方法を特定し、会議予定や共有方法を計画することから始まりますが、特にプログラム企画〜立ち上げのフェースでは、必要とする情報をあらかじめ全て予測するのは不可能なため、会議などを短い間隔で定期的に開催し、タイムリーな情報共有に努めるのが賢明です。東京医科歯科大学MPHプログラムの立ち上げフェースでは、重要なステークホールダーである教員・職員間の会議や情報共有機会が定期的に設けられませんでした。そのため、教員から様々な要求がEメールで寄せられた一方、その背景状況や要求理由、要求内容の柔軟性などが職員に十分に伝わらず、またそれら要求の実現には様々な事務的ハードルがあったのですがそれが教員に十分に伝わらず、「教員が無茶な要求ばかり言ってくる」(職員)、「職員にはプログラムを成功させようという意思がない」(教員)と、お互いが不信感・敵対心を抱くに至ってしまいました。一般的にプロジェクトの計画・管理運営においては、まずプロジェクト遂行のための様々な作業を完了するために必要な資源(物・人)を特定した上で費用が見積もられ、その上でプロジェクト予算が策定され、その予算の承認を得るという手順が踏まれます。他方、今回インタビューさせていただいたプログラムのいくつかは、省庁補助金事業の一環として企画運営されていました。つまり、補助金事業として上限額が決まっており、その中で運営可能なプログラムが計

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