国際競争力のある修士課程プログラムを創るための指南書
44/73

3.2 各要素の事例と解説3.2.1 組織体制3.2.2 意思決定方法大学MPHプログラムは、SGU採択に際し申請額に対して補助金が大幅減額されたため、常勤教員人件費は大学運営費からの捻出に変更を余儀なくされたため自走化における人件費の問題は回避できましたが、補助金額的に余裕があっても人件費は外部資金に依存しないなどの方策を最初から取っているプログラムもありました。本項では前項で概説した進行管理体系の各項目について、今回インタビューさせていただいたプログラムの中でのグッドプラクティス事例を紹介しながら解説します。戦後、日本企業が海外進出を加速させていった際には、それを後押しするために、国際部や海外事業部といった部署がつくられ、「集中型」の組織体制が取られました。貴重な海外関連資源(ヒト・モノ・カネ)や、変革のための権限を集中させる必要があったためでしょう。しかし1980年以降になると、海外展開に成功した企業からそういった部門はなくなり、本来の製品やサービス別事業部の中に海外担当は取り込まれていきました。すなわち、「分散型」の組織体制になっていったのです。今回の調査でも、海外募集・事業展開を最近強化し始めたところでは「集中型」(3.1.1東京医科歯科大学の例)であり、長年取り組んできているところでは「分散型」でした。「分散型」を取る早稲田大学GSAPSやWBSでは、国際修士課程プログラムのために特別な事務部門を設けることはせず、教務、労務などのそれぞれの部門に英語対応力の高い職員を配備し運営にあたっていました。これは国際化を積極的に進めてきた早稲田大学だからこそ取れる方策です。いずれにせよ、組織体制は教職員の英語対応能力等のケイパビリティによって規定されること、長く国際化に取り組んできた大学においては分散化が進んでいること、などがわかりました。3.1.2にて、プログラム運営のためには計画段階でステークホールダーを同定して会議体を組織することの重要性に言及しました。通常の日本語修士課程プログラムであれば、統括する研

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る