国際競争力のある修士課程プログラムを創るための指南書
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3.3 進行管理体系まとめ3.2.8 変革への抵抗3.2.9 自走化筑波大学TIASのように、開設に際して新規で教職員を雇用した国際修士課程プログラムでは、英語対応のできる人材を雇うことができましたが(Appendix A.1)、新規開設する国際修士課程プログラムに既存の教職員で対応せざるをえなかった機関では、英語で授業や研究指導を行うことについて教員からの抵抗が、そして英語で教務的支援を行うことについて事務職員からの抵抗が経験されました。法政大学IISTは、SGUの一環として設立された国際修士課程プログラムで、既存の教職員の協力のもとに運営されてきました。教職員の多くは、抵抗こそしなかったものの、当初は「大学のために貢献したい」という能動的な姿勢ではなく「上からの指示なので仕方なし」という受動的な姿勢の方が主でした。そんな教職員を動かしたのは、ビジョンを語る総長のリーダーシップ、IIST開設時のディレクターの献身的な活動を通したロールモデリング、困っている学生を助けてあげたいという教職員の気持ち、そして学生達からの感謝の気持ちなどでした。これらにより、今は能動的に、相互協力しながら運営に当たっています(Appendix A.1)。学長の意向により組織改変の際に国際修士課程プログラムが設立されたある機関では、設立当初、英語での授業や教育にエフォートを割くことに抵抗する教員が、特に年配教員に少なからずおり、学長のリーダーシップを持っても彼らの協力があまり得られず、彼らが退職を迎えるまで残りの教員が力を合わせてなんとかプログラムを運営していきました。それら年配教員が退職され、また世界中から応募してくる優秀な留学生達の学習に対する熱意に動かされ、組織文化が徐々に変わっていきました。3.2.6財源確保の欄で詳しく説明いたしました。プログラムの立上げから実行に至る際の管理・運営ノウハウの分析では、プロジェクト進行管理手法として広く用いられているPMBOK手法をベースに、インタビュー結果を踏まえ、「国

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