国際競争力のある修士課程プログラムを創るための指南書
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際的な修士課程プログラム創出/運営」というテーマに沿う独自の進行管理体系を作成し、用いました。そして、同体系の要素毎に分析することにより、インタビュー対象プログラムに共通する以下の5つのポイントが同定できました。① 組織体制:「分散型」と「集中型」国際修士課程プログラムでは、英語での授業/研究指導(教員)だけでなく、英語での事務対応(職員)が求められます。関連部門職員の英語対応能力にもとづき、プログラム管理運営組織体制が「集中型」か「分散型」かに分かれていました。以前より留学生を多く受け入れてきて機関各部署の国際対応能力が高いところでは「分散型」、そうでない機関では「集中型」体制がとられていました。後者は効率性追求の必然的な結果であり、留学生や外国人教員の受入がその後持続/拡大すればいずれ機関の国際化が進み、「分散型」に移行していくでしょう。一方、本来「集中型」体制が適切なものの、予算ほかの点から同組織体制がとれず(英語対応可能人材確保/配置)、国際化が進んでいないまま「分散型」体制で対応せざるを得なかったプログラムもあり、教員への負担過多が問題となっていました。② ステークホールダーよりなる会議体の定期開催特にプログラム企画〜立ち上げのフェースでは、共有すべき情報と共有すべき範囲(関係者)の正確な予測は困難であり、また意思決定対象案件が多数あります。そこで、ステークホールダー(担当教員、教務部門や国際部門などの職員、国際担当理事など)を交えた会議体を短い間隔で定期的に開催し、タイムリーな情報共有/意思決定を行うことが必須です。③ 省庁補助金事業の一環として始まったプログラムにおける事業終了後の財源確保省庁補助金事業の一環として企画運営されるプログラムでは、事業終了後の財源確保が大きな課題となります。特に教員人件費の財源を補助金に頼る場合、事業終了によりプログラム存続の危機に陥ります。教員人件費は外部資金に依存しないのが賢明であるというのが、苦い経験を経て得られた共通の知見でした。④ 就学費用や生活費用の支援多くのプログラムが、結果としてアジア・アフリカからの留学生を主たるターゲットとしており、優秀で志の高い学生が経済的状況に左右されることなく応募してくれるよう、就学費用や生活費用の支援を様々な形で提供していました。特に出身国政府や日本政府、JICAなどによる奨学金は重要な生命線であり、多くのプログラムがその申請支援を積極的に行なっています。

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