国際競争力のある修士課程プログラムを創るための指南書
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1. 概要法政大学総合理工学インスティテュート(Institute of Integrated Science and Technology:以下、IISTと略)は、文部科学省補助金事業「スーパーグローバル大学創成支援」の取組みの一環として、理工学研究科と情報科学研究科を母体に横断的に発展させ、全ての専攻を跨いだ形で存在する完全英語履修の学位コース(修士/博士)であり、2016年に開設された。定員はそれぞれの専攻に配置される。IISTは全ての専攻を跨いだ組織であり、その中に「フィールド」を設け、各フィールドが既存の専攻と対応する格好とし、学生は当該フィールド内科目を受講する形としている。「IISTセミナー」のような、フィールドにかかわらず全員が受講する科目もある。英語で学位が取れるのが売りなので、応募者は外国人である。以前は外国人留学生用の入学試験があったが、IISTができてからはIISTとして実施する入学試験を受ける形になっている。募集人数(修士・博士合計)は15人。募集は秋入学のみ。IISTでまとめて募集するというより、学生がどの教員を志望するか、その教員がどの専攻に入るかで所属が決まる。IISTの修士課程の修了生はそのまま博士課程に進むこともある。IIST修了後は、日本や母国で就職している。2. 戦略2-1. ビジョン・ミッション2014年7月に「法政大学グローバルポリシー」を制定し、全学が一体となってグローバル化を推進することとなった。小金井キャンパスでは、国際通用性をもった研究環境と教育カリキュラムを整備・確立し国際連携による高度な研究の推進とグローバル人材の育成を目指すこととなり、目標を達成するためにIISTが開設された。学部で開始された英語学位プログラムと連携し、メソッドを共有していった。2-2. 基本戦略差別化戦略2-3. ビジネスモデルターゲットグローバル社会において総合理工学分野のリーダーとして活躍する意欲に溢れる学生をターゲットとする。留学生受入れ実績のある中国、韓国、ブラジル、インド、チェコ等に加え、ベトナム、マレーシア、タイなどASEAN諸国からの受入れを重点的に進めている。バリュー高度な専門知識と実践能力、新たな分野を切り開く先見性と研究遂行能力を育成する。収益モデルSGU補助金を主たる収入源としている。同補助金は主にIISTの専任教員人件費に使っている。2-4 個別戦略プロモーション個人依存からの脱却へ海外の学生に向けての広報活動は、効果的な取り組みができておらず、個々の教員が持つコネクションに頼るところが大きかった。「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(African Business Education Initiative for Youth)(ABEイニシアティブ)」や独立行政法人国際協力機構(Japan International Cooperation Agency:JICA)で来る留学生は多くなかった(1〜2割程度)。現時点でも定員15名を満たす程度の応募はあるが、個々の教員が持つコネクションに依存した体制だと、その教員が異動した後に困難を極めるため、組織体制を整えることが重要である。ウェブサイトは事務が主に運用している。卒業生と現役学生の懇談会などでの声を取り入れ、その結果を反映している。アドミッションマッチングの難しさ現行の方法(下記)では応募者と研究室とのマッチングが難しい。マッチングが志願者を伸ばすための大きなポイントだが、応募者にとっては専門性の他に教員のタイプや教え方なども重要であり、事前にベストマッチする指導教員を選ぶのは難しい。特に留学生は来てからのミスマッチが起きるととても大変なので、どう適切にやっていくかがこれからの課題。現行の方法:A.2.3 法政大学総合理工学インスティテュート(IIST: Institute of Integrated Science and Technology)

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