国際競争力のある修士課程プログラムを創るための指南書
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① 応募者はウェブで教員の一覧を見て、指導してもらいたい教員を自分で見つけ、まずは簡単な入試問い合わせフォームを事務に送る(自分のこれまでやってきたこと、大学でやりたいこと、研究プラン、希望する指導教員名等)。② 事務が中継する形で、応募者が希望する指導教員に内容を転送し打診する。③ 教員の了承が得られたら、出願要件である「指導教員の受入許可」を得るために、多くが面談を実施する。分野が違うなど、ミスマッチを全てカバーできているかは難しいが、別の教員に打診するなど、事務でできるフォローはしている。④ 「指導教員の受入許可」が得られたら、応募者は出願書類を提出する。⑤ 審査(2021年度までは書類審査のみで合否判定をしていたが、2022年度から書類審査に併せてオンラインインタビューを必須化した。)3. 戦略策定プロセスポジショニング学内の他の英語学位プログラムとの比較を行い、学内でのポジションについては考察していたが、他大学との比較については行っておらず、強みを考えるなどの分析はこれまで力を入れてこなかった。4. 進行管理4-1. 管理体制組織構成現状は分散型グローバル教育センターという事務部がSGU全体の進行管理・予算管理をしているが、各プロジェクト・取り組みに関しては旧来から担当していた各部局が運営している。よって英語学位であれば、学務・教務系、大学院の事務が主導しており、グローバル教育センターは英語学位の総括をしている。新たな教育プログラム・組織を作るという取り掛かりの検討・申請などの段階は、教学企画室で担当し、学部・研究科事務およびグローバル教育センターと連携しながら進めている。IISTを含めてSGUの調書を出す段階で、理事会から学部や研究科に英語学位プログラムの実施について検討が依頼され、理系からは小金井キャンパスの大学院でIISTを考案し、今に至っている。教員リーダー開設時のディレクターは、副学長としてリーダーシップを発揮し、各部署にグローバル化の推進について理解を促し、IISTの実施に繋げていった(詳細は後述)。人員確保IISTの専属教員がおらず、授業の英語対応の負担から、留学生の受け入れに難色を示すケースがあった。現在はほとんどの専攻において、修士課程の学生を受け入れている。IISTが軌道に乗った原動力は、主導した教員(開設時ディレクター)のリーダーシップが大きく、また、年々授業の英語対応に抵抗のない教員が増えてきている。職員設置当初の大学院課職員にとっては、IISTの業務は大きな負担であり、職員数に余裕がなかったため非専任の嘱託職員に助けてもらっていた。英語学位を担当する部局では、英語が堪能な専任職員あるいは非専任職員の採用を希望することによって、運営体制を整えることができた。コミュニケーション定期ミーティングIISTは大きな組織ではないので、ディレクターと事務とで定期ミーティングを実施しており、実際に話して色々変えていける。また、運営委員会が月1回あり、各専攻代表教員が出席するので、各専攻で出た意見・問題点・課題を共有することができる。運営委員会は、開設時ディレクターが立ち上げ当初から音頭を取って実施している。開設当初は毎週のようにミーティングをして、課題や問題点を一つ一つ潰していった。学生支援OECD諸国の多くや最貧国からの留学生は日本の国立大学の学費でも支払いが難しく、彼らの経済支援に苦労した。IISTの場合はあしなが奨学金#(篤志家による指定の冠寄付金)を立ち上げ、アジアの最貧国特定8国の学生に毎年20万円支給しているが、広くはカバーできず、全てをまかなえるものではない。他にティーチング・アシスタント、リサーチ・アシスタントとして雇用することなどでサポートしている。

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