(①) 研究生産性の高い教員独立大学院(学士課程がない)であることにより、教員が研究および大学院教育に集中できる。教員による科学研究費の申請率が100%を超えており、研究者として活躍している教員が多いということを反映している。またアカデミックだけでなく、国際機関等のプロフェッショナルな経験を持った人を集めていくことは、当初からの考え方である。 (③) 教員の英語対応力やキャリア教員は、外国人や外国で教育を受けたことがある人と1. 概要もともと早稲田大学の中に「システム科学研究所」と、アジア地域研究を担う「社会科学研究所」という2部門があった。90年代の同大学内スローガン「アジア太平洋地域における知の共創」のもと、当時先進的とされた国際関係学、もしくは国際経営学のビジネススクールを作るために独立大学院として大学院アジア太平洋研究科(Graduate School of Asia-Pacific Studies:以下、GSAPSと略)が開設された(1998年)。設立当初は「国際関係学専攻」と「国際経営学専攻」の2専攻体制であったが、2007年に国際経営学が商学研究科に移動し、国際関係学専攻のみとなった。定員は4月入試・9月入試合わせて120名(博士課程後期は30名)である。学費は2年間で計315万円であり、8割は留学生である。2. 戦略2-1. ビジョン・ミッション早稲田大学には創設者である大隈重信が提言した「世界に貢献する」という教育理念がある。90年代に「アジア太平洋地域における知の共創」というスローガンが作られ、アジアと組むことによって欧米の大学とより戦略的に連携できるという「2ステップ理論」が提言された。その理念「アジア太平洋地域における知の共創」のもとに、1998年に早稲田大学初めての独立研究科としてGSAPSが生まれた。2-2. 基本戦略集中戦略2-3. ビジネスモデルターゲット留学生が8割開設当初は日本人が7割だったが、現在は留学生が8割程度となっている。多様化の観点から日本人を増やすことを一つの目標としている。留学生の中でも5割が中国からの留学生である。偏りすぎているが中国からの応募者は非常に優秀な学生が多く、なかなか下げるのが難しい。バリュー① 多様な研究テーマ国際関係学の単専攻だが、その中に「地域研究」「国際関係」「国際協力・政策研究」がある。「国際協力・政策研究」は、後からこの分野の学生ニーズが高いということが分かり大きくなっていった。② 文系修士学位アジアでは文系の修士学位の価値が高い。留学生の卒業後の進路として一番多いのは企業だが、国際機関や各国の政府系で働く人も相当数いる。日本人学生はNGOへの就職も多い。博士課程には、第一希望として研究者を目指す学生が多く、その実績も相当数ある。米国ペンシルバニア大学が発表した「世界のシンクタンクランキング – The Global “Go-To Think Tanks”」では大学に付設された地域研究機関として世界9位にランクした。③ 完全なバイリンガルプログラム開設当初から日本語と英語のバイリンガルプログラムであり、英語もしくは日本語のみで単位を全て取得し学位研究/学位論文執筆・審査も行える。④ 早稲田ブランド「早稲田大学での学位取得」がキャリアにおいて有利になるという認識は、中国だけでなくアジア全体においてかなり浸透してきている。「早稲田大学」という名前がある程度通っており、それが大きな礎になっている。⑤ 豊富な交換留学先国際的な教育プログラムを提供していく上で、交換留学提携先の多さも大きな強みである。ケイパビリティ(番号は「バリュー」欄の番号に対応)A.2.4 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士課程(GSAPS: Graduate School of Asia-Pacific Studies)
元のページ ../index.html#70