国際競争力のある修士課程プログラムを創るための指南書
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⿠(③) 職員の質研究科所属職員のほとんどが英語対応可能でかつ事業運営能力が高い。 ⿠(④) これまでの長い歴史の中で築かれた早稲田ブ ⿠(⑤) 提携大学の多さ北京大学とは長年博士課程におけるダブルディグリーを実施しており、2年前からはブリュッセル自由大学とも修士課程におけるダブルディグリーを行っている。また「大学の世界展開力強化事業」に採択され、EAUI(East Asian University Institute東アジア共同大学院)プログラムにて、アジア地域統合・協力の推進を担う人材を養成することを目的に、高麗大学政治経済学術院(韓国)、ナンヤン工科大学社会学院(シンガポール)、北京大学国際関係学院(中国)、タマサート大学政治学研究科(タイ)、早稲田大学アジア太平洋研究科の5大学で共同教育の枠組みを作っている。いう定義を用いれば100%近い割合となる。ランドJICAの開発大学院連携プログラムにも入っており、アジア太平洋研究科としてフィールドリサーチを支援する枠組みになっている。収益モデル学費はかなり高く、通常の社会科学系大学院との比較や早稲田大学内での比較で見ても2〜3倍近い金額であるが、私学の独立大学院で黒字化していくのは非常に難しい。それでも研究大学の使命として、覚悟の上でこの大学院をつくった。ただし、外部資金の獲得には熱心に取り組んでおり、科学研究費や独立行政法人国際協力機構(Japan International Cooperation Agency:以下、JICAと略)のプロジェクトなどの採択実績は学内でトップレベルである。早稲田大学全体では、学生納付金の割合が約65%であり、私学助成金など政府から配分されるお金の割合は10%弱である。2-4 個別戦略プロモーション当初開設当初は授業料の高さのためリクルートに苦労したが、卒業生の活躍実績の積み重ねや英語プログラムの充実により、応募者増数を達成した。現在学生の多様化、特に国籍面での多様化を重要視している。広報活動として、ウェブサイトやFacebook、Instagramの他、海外の『FOREIGN AFFAIRS』という専門誌に広告を出している。ただ、広告だけではなかなか学生を集めることが難しいため、国費やJICA、海外の政府派遣、政府の奨学金を取得してやってくる学生のプログラム申請への働きかけについて、最も力を入れて取り組んでいる。また、各教員が自身の研究内容を説明する「Faculty Spotlights」というビデオクリップの作成や紀要の公開等、ウェブ上での広報を強化している。これらの結果、現在の応募倍率はかなり高く維持できている。3. 戦略策定プロセス競合分析教育研究内容からみた競合相手としては、慶應SFC、東京大学の公共政策研究科やアジア情報学環が挙げられる。学内の競合相手としては、国際コミュニケーション研究科や政治学研究科がある。JICAによる人材育成奨学計画(The Project for Human Resource Development Scholarship:JDS)の観点からみると、国際大学の大学院、明治大学のガバナンス研究科などが競合相手として挙げられる。戦略スタンスの決定外部資金に応募していく過程で、戦略的思考(早稲田大学の何が売りで、どういうターゲットに対して、どういうものをつくっていくか)が研究科内で出来上がっていった。4. 進行管理4-1. 管理体制組織構成早稲田大学初の独立研究科。教員も職員も全員当該研究科に所属しており、研究科直属の事務所が存在する。GSAPSでは研究科の運営推進や発展のために何をするかということを専門で考える事務体制ができている。意思決定方法

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