国際競争力のある修士課程プログラムを創るための指南書
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1. 概要WBS(Waseda Business School)は、もともと別々だった3つのビジネススクールが1つになってできた。縦軸が日本語、英語、横軸がパートタイム(夜間)、フルタイム(昼間)という構成になっており、1年コースと2年コースがある。その他、海外2ヵ国(シンガポールのナンヤン工科大学、フランスのESCP経営大学院)とのダブルディグリープログラム、そして36校の学生交換協定校がある。年間約300人が入学、合計で毎年約600人が通学している。4月入学と9月入学があり、4月入学は日本語プログラム、9月入学は英語プログラムと分かれているが、ゼミや日英科目(日本語半分、英語半分)では、日本人学生と留学生の相互間の交流が行われている。2. 戦略2-1. ビジョン・ミッション以下3つをミッションとして掲げている。① Actionable Management Knowledge(実践につながる知)Actionable Management Knowledgeの強みは資源、つまりは学術知と実践知の融合で教員の最適バランスを取っていくことである。単に実務家教員とアカデミックな教員がいるのではなく、両分野でトップの方を教員として招聘している。② Insightful and Responsible Leaders(洞察力のあるグローバルリーダー)教育内容を世界トップレベルのものにしていくという大前提のもと、「日本人と日本人以外の適切な交流」、「国際認証の取得」という2つの「グローバル」に取り組んでいる。また、Ethics、Responsibility、Sustainabilityの3つを共通価値として、全ての授業において重要視している。③ Dynamic Learning Community(学びのコミュニティ)コミュニティのダイバーシティを重要視しており、クラスポートフォリオにおける広がりと濃さの両立を目指している。「濃さ」という点では、「ゼミ活動」がある。コースによってゼミの人数は4〜10人と様々であるが、スモールコミュニティーの中で濃い関係を築き共に学習するとともに、閉じたコミュニティにならないよう、教員がサポートしている。これが学生間の学習となり、お互いの学び合いを高めている。ゼミ以外では、「OB・OG」とのつながりや「企業」とのネットワークも大切にしている。具体的には、卒業生向けのプログラムを立ち上げ、卒業生と定期的にコミュニケーションできるような場を設定する等がある。2-2. 基本戦略基本戦略広いポートフォリオ & 高品質差別化 & 知名度(総合型ポジション)「言語では英語コース軸と日本語コース軸、通学形態ではフルタイムとパートタイム、対象層では国籍で言えば日本人と外国人、年齢軸も幅広く20歳台から50歳台まで」という幅広いポートフォリオが1つの戦略になっている。そうした中で多様性のあるラーニングコミュニティを構築する。ケイパビリティ留学生サポート早稲田大学は日本で一番留学生が多い大学ということもあり、留学生対応のオペレーションが大学本部によりしっかり整備されている。WBSの留学生サポートの半数は大学本部で対応し、もう半数はビジネススクールでスペシャリストを雇用し対応している。大学職員も、現在日本語・英語・中国語の3カ国語対応が可能な人材を窓口に配置している収益モデルノンディグリープログラムのプロフィットとディグリープログラムのブランドWBSのプログラムはディグリープログラムとノンディグリープログラム(エグゼクティブプログラムなどの企業研修など)の2本柱になっている。ディグリープログラムはWBSが担当し、ノンディグリープログラムはビジネス・ファイナンスセンターで担当している。欧米MBAと同じくノンディグリープログラムで収益を上げ、教室設備等の支出をカバーしており、オンライン対応でも最先端の設備を入れることが可能となっている。A.2.5 早稲田大学大学院経営管理研究科経営管理修士課程(WBS: Waseda Business School)

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