第63回(2021年度第4回)“Find-Your-Role-Model” Sessionが開催されました

2021年度第4回目(通算63回目)のFind-Your-Role-Model Sessionでは、独立行政法人国際協力機構(JICA)国際協力専門員の磯野光夫先生をゲストとしてお招きしました。

磯野先生は、東北大学医学部をご卒業され、大分大学医学部にて脳神経外科分野准教授として勤務されたのち、独立行政法人国際協力機構(JICA)で、国際協力専門員として長年、国際協力の現場で活躍されてきました。主な専門分野・領域は、保健医療分野の開発援助、感染症対策、公衆衛生全般で、これまで約40カ国で、主に感染症分野、臨床医学関連分野の案件形成・評価等に活躍されており、特にアフガニスタン結核対策プロジェクトリーダーとして約15年現地活動に従事されてきました。

磯野先生は、ナイジェリアのビアフラ戦争や第3次中東紛争(いずれも1967年)における飢餓に苦しむ子どもたちの写真や映像を青年時代に見たことを原体験とし、医学部入学・卒業後も国際協力分野への関心を持ち続けたそうです。脳外科医として30年弱もの間ご活躍された後に腱鞘炎を患い、脳外科医の継続が難しくなったことをきっかけに、それまでずっと抱き続けていた国際協力・国際保健分野へのキャリアチェンジを果たすべく、JICAに就職されました。数多くある国際協力に関わる組織の中でJICAを選んだのは、途上国に組織づくりや人材育成など長期的なアプローチができるからだそうです。キャリアチェンジのタイミングも方向性も人それぞれだからこそ、あらゆる選択肢を知っておくことの重要性を強調されていました。

JICAの専門員として活躍されている先生には、宗教的・文化的背景が全く異なる人々と共に仕事をする機会が多くあります。その中には考え方や価値観が根本的に合わず、議論が進まない場合も数多くあるそうです。そのような時には相手を理解しようとする姿勢が必要であり、そのためにも学生時代には異なるバックグラウンドの人と積極的に交流するのがよいとの貴重なアドバイスをくださいました。

また、国がやる国際協力は「国策」であるという言葉が印象的でした。先進国は技術協力や資金協力などの形で途上国を支援しながらも、COVID-19のような非常事態の際には自国を優先し、途上国を後回しにするという現状が浮き彫りになりました。今日の国際社会の中で、富める国は、自身の振る舞い方を今後さらに真剣に検討してかなければならないとおっしゃいました。

最後に引用くださった「ほかの国の人を感染源としてはみなしてはいけない。みんな同じ人間として接するべきだ。」というメッセージ(Peter Sands, Executive Director of the Global Fund)には、はっとさせられました。将来のヴィジョンを深めるとともに、今後の国際協力・国際協調のあり方を考えさせられる、大変貴重な機会となりました。

 

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