第68回(2022年度第4回)“Find-Your-Role-Model” Sessionが開催されました

2022年第4回目となる”Find-Your-Role-Model” Sessionでは、東京医科歯科大学細胞生理学分野の教授でいらっしゃる礒村宜和先生をゲストとしてお招きしました。

礒村先生は、1996年に大阪大学医学部医学科を卒業されたのち、京都大学の大学院で医学博士を取得されました。2000年からは東京都神経科学総合研究所で、2002年には渡米し米国Rutgers大学Buzsaki研究室にて研究活動を行いました。その後日本に帰国されてから理化学研究所を経て玉川大学脳科学研究所の教授に就任され、2019年からは本学に籍を移され、細胞生理学分野で研究、教育に従事されています。研究としては大脳の神経回路における情報処理の仕組みと働きの解明に取り組まれており、神経科学の第一線で活躍されています。

セッションでは、医学研究に興味を持ったきっかけ、様々な研究環境で苦労したこと・学んだこと・感じたこと、これからの神経科学の展望、そして学生や研究者へのアドバイスなどをお話していただきました。

礒村先生は、「やりたいことをやる勇気」の重要性を強調されていました。これまでの研究人生で、研究テーマを押し付けられたことがなく、進路も常に自分で決めてきたそうです。医学部卒業時に医師免許をとらない決断や、様々な研究室で研究を積み重ねてきたのも、全てそのときそのときにやりたいことをやってきた結果なのだと仰っていました。

また、研究において最も重要なこととして、「諦めないこと」と教えてくださいました。例えば、Buzsaki研究室での最初の3か月は、実験は失敗ばかりだったそうです。しかし、試行錯誤して頑張っているうちに不可能と言われた実験を成功させることができたそうです。結果が見えない時にも、「ずっともがけばどうにかなる」というマインドセットをもつことが重要であると強調されました。

次に、今後の神経科学の展望についてもお話を伺いました。近年、観察できる神経活動のバラエティが増えており、今後は神経活動の観察だけではなく、脳全体の活動原理やアルゴリズムを解明していく必要があるそうです。また、何を解き明かしたら脳を理解したといえるのか、という点についても考えていくことが重要とおっしゃっていました。これまで神経科学の研究者は動物を使ったウェットな実験が主でしたが、これからはウェットな実験だけではなく理論、統計、プログラミング、ディープラーニングなどの様々なドライの分野についても扱えるようになる必要があり、研究者に求められている素質も変容していくようです。他の専門分野の研究者との共同研究も増えていますが、その時はお互いをリスペクトし、対等な信頼関係を築くことが重要と仰っていました。

最後に参加者に向けてのメッセージとして、自由に自分の好きなことを、勇気を持ってやることを強調していました。人生は一回きりしかなく、みんな死んだら石ころになってしまう。どうせ死んだら皆同じになるんだったら、自分の好きなことをすることが重要なのではないか、と仰っていました。社会のレールから外れてもいいので自分の生き方を見つけてほしい、というメッセージを残してくださいました。
 

Flyer(JP)_Dr. Isomura
日時:

2022年10月3日(月) 18:00~19:00

ゲスト:

礒村宜和 先生

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 細胞生理学分野 教授

東京医科歯科大学 副理事(研究開発担当)

  • HOME
  • 活動報告
  • 第68回(2022年度第4回)“Find-Your-Role-Model” Sessionが開催されました
ページトップ