第70回(2022年度第6回)“Find-Your-Role-Model” Sessionが開催されました

2022年度第6回目(通算70回目)となるFind-Your-Role-Model Sessionでは、武田薬品工業株式会社のHead of Japan Medical Office である大山尚貢先生をお招きしました。

大山先生は、北海道大学医学部卒業後、循環器内科に入局後、同大学院にて博士号を取得されました。その後、米国ハーバード大学医学部血管医学教室にて2004年からPostdoctoral fellowとして血管内皮・血管平滑筋に関する研究に従事された後、2006年に帰国後、アストラゼネカ株式会社研究開発本部およびMedical affairs部門の医学専門家として製薬業界でのキャリアをスタートされました。2010年にはMBAを取得され、2013年にメディカル本部部長としてノバルティスファーマ株式会社に入職、2015年から2017年にスイス本社でのGlobal Medical Affairs Directorを経て日本に戻りメディカル本部執行役員本部長を歴任し臨床開発統括部および探索開発統括部の執行役員統括部長としてご活躍されました。そして、2022年7月に武田薬品工業株式会社Head of Japan Medical Officeに就任されました。

はじめに製薬会社でのキャリアをスタートされたきっかけについてお話しをしていただきました。大山先生は、ドラッグラグの問題を製薬業界で解決したい、創薬に関わり社会に大きなインパクトを与えたい、という思いから製薬業界に入られました。先生のお話から、研究成果を臨床開発につなげる、トランスレーショナルリサーチが行えるという点が製薬業界の大きな魅力であると感じました。

次に、シンガポールやバーゼルでの勤務のご経験を共有していただきました。一見、日本は小さな国に思えるかもしれないけれど、アジアのマーケットにおいて日本は超巨大であることに気づいたとおっしゃっていたのが印象的です。また、グローバルチームでは様々なアクセントの英語を話す人と働くが、上手く聞き取れないときは、その人のアクセントを軽視することは決してせず、ゆっくり話してもらったり、理解が正しいかこまめに確認したりすることで意思疎通することが大切だと強調されていました。仕事をする上で、細やかに丁寧に人とコミュニケーションをとる重要性について再認識しました。

最後に、現在携わっていらっしゃるお仕事についてご説明していただきました。製薬会社の中で医師や科学者が関わる部門として、早期開発・臨床開発・Medical affairs ・安全性があるとのことです。現在所属されているMedical affairs部門では、開発された薬がどのように臨床応用されるか決定したり、unmet medical needsを新しい治験につなげていったりする役割を担われています。大山先生は、製薬業界でのキャリアは薬の開発の様々なプロセスに関われることが魅力だと仰っていました。またキャリア選択においては、過程よりも結果が求められたり、リモートワークが主流となったりと働き方が変わってきている現在、「自分が興味を持って楽しめることを職業に出来ると一番人生を楽しめる」とのメッセージをいただきました。学生時代から視野を広く持ち、多くのことを経験して自分が楽しめることをたくさん探したいと思いました。

Q&A sessionでは、医師の場合卒後どのような段階で製薬業界に入るのが良いのかという質問に、専門医取得後であると回答いただきました。自らの臨床経験を踏まえた視点から物事を判断でき、それが強みとなるとの理由からです。さらに研究経験に関しても、仮説を検証して振り返り、次のサイクルを回すという基本的な研究の考え方が、治験の組み立てや、マーケティング戦略立案に必要な論理的思考に応用できると仰っていました。

大学で勉強していると製薬業界でご活躍されている医師の方にお話を伺う機会は少ないため、世界規模の製薬会社の経営にも携わるポジションに就いていらっしゃる大山先生から製薬会社での業務内容や先生の仕事における信条を伺えた今回のセッションは大変刺激的で貴重なものとなりました。

Flyer(JP)_Dr. Oyama
日時: 2023年1月31日(火) 18:00~19:00
ゲスト: 大山 尚貢 先生
武田薬品工業株式会社 Head of Japan Medical Office
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